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大下 達哉
物件のことは大下が伝授!
大下 達哉 株式会社 さくら事務所
日々のインスペクションの現場から、重要なポイントをお伝えします。
プロフィール

住まいの省エネ(断熱)が強制ではない唯一の先進国、日本。

2008-05-14 01:59:41
自動車に、エアコン、冷蔵庫などで、高い省エネ技術を持つ日本。
その他の商品においても、省エネ技術を誇るものは、いくつもあります。

それでは、住宅の分野はどうでしょうか。


●次世代省エネルギー基準
日本の住宅の省エネルギー基準で、最も新しいものは「次世代省エネルギー基準」です。
「次世代」という名称が付いていますが、1999年に定められたもので、もうすぐ10年近くとなる基準です。

この次世代省エネルギー基準を、海外の省エネルギー基準と比べると、以下のようなグラフとなります。



【建築技術 2006年 8月号 「世界の省エネルギー基準の概況」を元に作成】

グラフにおいて、横軸は寒さの程度を示します。
縦軸は、一般的にQ値(熱損失係数 単位:W/m2K)」と呼ばれるものです。
Q値は、「室内外の温度差が1℃あるときに、床面積1m2あたり1時間に失われる熱量を表したもの」です。
この数字が小さければ小さいほど、省エネ性に優れます。

このグラフを見ると、北海道は他の先進国と肩を並べているものの、その他の地域では、日本の省エネルギー基準は緩いことが分かります。

1999年当時、他の先進国と肩を並べたとされていた日本の次世代省エネ基準。
しかし、他の先進国の省エネ基準改正に伴い、今日では日本の省エネ基準は海外よりも緩いものとなってしまいました。
次世代省エネルギー基準をギリギリ満たす程度では、海外の省エネ基準は満足できないのです。


●日本の省エネルギー基準は任意だが・・・。
この日本の省エネルギー基準ですが、「任意」の基準です。
この省エネルギー基準を満たす義務はなく、罰則もありません。
建物を作る前の確認申請のときにも、断熱や快適性の部分は審査する側は見ませんし、書類の提出も必要ありません。

これに対し、他の先進国はどうなっているのでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、回答のあった20ヶ国のうち、建築の規制(強制法)に、省エネ基準を盛り込んでいないのは日本だけだったそうです。*1

その20ヶ国は、G8の日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアの他、スウェーデン、スイス、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、リトアニア、チェコ、オーストリア、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドです。

省エネ基準を盛り込んでいない日本では、壁の室内側にも外側にも断熱材を使わない、いわゆる打ちっぱなしコンクリートの建物を今日でもつくることができます。
建築の規制に省エネ基準を盛り込むということは、日本で行われている両面打ちっぱなしコンクリートのような無断熱の建物は、他の国ではできないということです。


●日本の住宅の省エネ化は遅れている
建物の省エネ基準が義務化されていないため、基準が出来てから10年近くになる今日でも、次世代省エネルギー基準の達成率は新築の 3割程度だとされています。

省エネ基準が義務化されておらず、その省エネ基準自体が甘い日本の住宅。
海外と比較して、住宅の省エネが進んでいないというのは明らかです。

エアコンや車、冷蔵庫やテレビなどで高い省エネ性能を誇る日本でも、建築の分野だけはかなり遅れているのが実情なのです。

やはり、新しい住まいを選ぶのであれば、最低限、次世代省エネルギー基準程度はクリアしておきたいものです。
私の理想としては、他の先進国の基準や、実際の快適性から、温暖地であっても Q値 2.0W/m2K以下が良いと思います。



*1:建築技術 2006年 8月号より

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