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物件のことは大下が伝授!
大下 達哉 株式会社 さくら事務所
日々のインスペクションの現場から、重要なポイントをお伝えします。
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| プロフィール |
しかし、実際には違います。
筋かいは、古くは法隆寺東院絵殿舎利殿(1219年)に見られますが、主流な工法とはなりませんでした。また、現在の建物で使われているような使用法ではなく、工法的な繋がりもありません。*1
実際、お寺や神社の建物には、筋かいがありませんよね。
現代の筋かいの使い方は、明治以後に紹介されました。
紹介されたといっても、当時の日本の木造住宅に筋かいが無いことを指摘したのは、日本人ではなく実は外国人でした。
スコットランド生まれの灯台建設技師プラントンは1874年頃、日本の木造住宅において、「壁には柱と柱を結ぶ一本の斜材も入っていない」と指摘しています。
フランス生まれの建築技師レスカスも、1877年に同じように日本の木造住宅の耐震性の低さについて、「壁に筋かいがない」と指摘しています。
また、イギリス出身の外人教師ジョサイヤ・コンドルも1892年の講演の中で、当時の日本の建物が地震に弱かった理由として、「筋かいが皆無である」ということを指摘しています。*2
筋かいが明治時代に紹介された後も、都市部の3階建て以外では、筋かいが実際に採用されることは少なかったそうです。
その後、昭和25年(1950年)の建築基準法に盛り込まれた壁量規定で筋かいが明文化され、幾度かの改正が加わりながら、現在に続いています。
つまり、現在のような筋かいの使い方の歴史というのは、まだ60年にも満たない程度のものであり、約130年前頃に外国の技術者に指摘されて使い始めたものです。
今、年金をもらっている人たちが生まれた頃、住まいに筋かいはほとんど使われていなかったということです。(それが「良い」という気は全くありません。)
60年に満たないものを「伝統」や「在来」というには新しすぎる気がします。
ときどき、筋かいがあたかも大昔から使われているかのように言われることがありますが、実際にはそんなことは無かったのです。
*1 日本の木造住宅の100年 p64、日本木造住宅産業協会
*2 地震と木造住宅、杉山英男、p153-155、丸善
http://t-ohshita.com/